クエン酸を使ったプリント基板のエッチング

・本記事の内容は化学反応を伴います。
・作業中は反応ガスが発生します。
・換気の良い状態で行う事を前提としています。

目次
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クエン酸エッチングを試した理由

プリント基板のエッチングといえば塩化第二鉄を使用したエッチング液が一般的です。
私も長らくサンハヤトのエッチング液を利用してきています。
サンハヤトのエッチング液は廃液処理用の処理剤も同梱されていて、廃液を処分しやすく工夫されているので便利です。

でももっと簡単に手に入る材料で基板のエッチングが出来てしまうのがクエン酸を使ったエッチングなんです。

クエン酸エッチングならドラッグストアで手に入る材料で済みますし、小さい基板の時には少量だけ液を作れるのも魅力的でした。

塩化第二鉄のエッチングとクエン酸のエッチング、どちらもエッチング結果としては変わりませんが、入手が楽な材料で出来てしまうという便利さに感動しましたのでご紹介しようと思います。

クエン酸エッチングに必要なもの

先に書いていますがクエン酸を使うエッチングには特殊な材料はありません。
お近くのドラッグストアですべて揃ってしまうはずです。
それでは見ていきましょう。

写真はクエン酸、オキシドール、塩になります。

エッチング液を作る&どのままエッチングするための保存バッグです。
サイズはご自身がエッチングするであろう基板サイズにより選択します。
大きすぎると基板全体を漬けるためにエッチング液を沢山作る必要が出てきますからワンサイズ上くらいにしておきます。

クエン酸を使用したエッチングの工程

いよいよ実際のエッチング工程になります。

本来なら計量してエッチング液を作る方が伝わりやすいかと思います。
ですが、このエッチング法ではその時の基板のサイズに合わせてエッチング液の量が変わりますから思いっきり目分量で作っています。
それでもエッチングに失敗した事はありませんから安心してください。

エッチング液を作る

写真では先にクエン酸を投入していますが、実際に試される時には先にオキシドールを入れる事をお勧めします。
オキシドールの量でほぼエッチング液の量が決まってしまいますので先に必要分のオキシドールを投入してください。

最初にオキシドールを入れれば、多く入れすぎても容器に戻して調整も出来て無駄を省けます。

基板を投入してエッチングを始める

クエン酸は飽和する程度まで溶かし込む必要があるので、いっしょに入れて溶かしながら様子を見ます。
ちなみに溶かし方は保存バッグをモミモミ、フリフリするだけでOKです。

簡単な目安としてはいらないスプーンなどを使い、クエン酸4杯と塩1杯を1セットとして溶かし込むと良いです。

クエン酸と塩がしっかり溶け込んだら基板を投入します。
冬場など気温が低いと反応がゆっくりになりますから、急ぐなら湯煎しても良いかもしれません。
私の場合はなるべく手間を掛けたくないのでそのまま様子を見ながら時々フリフリして揺すってあげるだけです。

気温が低く反応が遅くても反応が進んでくると反応熱で液温も上がってきます。
液温が上がると反応速度も上がってきて基板表面に泡が沢山出てきます。
放っておいても良さそうですが、泡がエッチングの妨げになる可能性とエッチング液の循環も考えてコマメに揺すっています。

保存バッグを揺すりながら基板をチェックして良さそうなら取り出してすぐに水洗いをすれば基板のエッチングは完了です。

エッチング完了

エッチングが完了した基板

基板に付いているトナーをスチールウールで取り除いた状態

必要なサイズにカット

部品をハンダ付けした状態
ちなみにこの基板はArduinoCNCシールドのリミットスイッチ用のフィルタ基板です。

廃液処理について

サンハヤトで購入できる塩化第二鉄のエッチング液には処理剤が付属しています。
自治体によって違いがあるかもしれませんが基本的に不燃ごみとして廃棄出来ます。

ですがクエン酸を使ったエッチング液には便利な処理剤はありませんから自身で何とかする必要があります。
エッチング液には銅が溶け込んでいますからそのまま排水してはいけません。
排水する前に溶けだした銅を取り出す作業をしていきます。

エッチングが終わった状態はとっても綺麗なブルーをしています。
しかし、このブルーは銅が溶け出した色ですのでこれを分離します。

どこの家庭にもあるアルミホイルを投入していきます。
ここで注意する点は反応熱です。かなり激しく反応するので最初はほんの少しだけ入れて様子を見ます。

入れすぎると触れないほどの熱が出てきますので入れすぎたと思ったら急いて水で冷やしてください。
あらかじめ冷やしながら処理するのも手です。それなら多少多めに入れても平気です。

数回アルミホイルを入れて反応させていると、反応自体が収まってきます。
その頃には沢山の銅が見えてきていると思います。ちなみにの反応を析出といいます。

あとは析出した銅を排水してしまわないように注意しながら、じゅうぶんに薄めて排水します。
私の場合保存バッグいっぱいに水道水を入れてから流水と混ぜながら少しづつ排水しています。
保存バッグの廃液が半分程度になったらまた水道水を満たして少しづつ排水していきます。
保存バッグの排水がほぼ透明になるまで繰り返して排水は終了です。

残った銅は乾燥させてからペットボトルなどに集めておいて地方自治体の処分法に従って処分します。

まとめ

実際にエッチングを試してみた感想ですが、特に気になるところもなく満足できる結果でした。
ある程度大きなサイズの基板のエッチングにはエッチング槽を持っている事もあって従来の塩化第二鉄のエッチングをすると思いますが、小規模の基板に関してはクエン酸エッチングで十分な気がしています。

ちょっとした基板のエッチング用にクエン酸とオキシドールを手元に置いておくのも良いのではないでしょうか。
どちらも、本来の用途でも使用できるので無駄にはならないと思いますよ。

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